EIJI OKUMURA

奥村英二|BANANA FISH

トップノートは、飾り気のないシャボンの香りから始まります。ナチュラルなせっけんの香りで、銃などの扱いに不慣れな、ごく普通の日本人の青年である英二を思わせます。
そこにマンダリンの甘みが加わっていて、どことなく幼いイメージもあります。物語冒頭のストリート・キッズの取材の際や、その他様々な場面で、童顔に見られてしまう英二という雰囲気です。アッシュの子分たちから子ども扱いされ、からかわれる英二が思い出されます。

ミドルノートでは、桔梗の花の透明感が出てきます。凛とした印象の香りで、アッシュを信じる強さを思わせる香りです。アッシュに何度も「住む世界が違う」と言われても、「ぼくたちは友達だ それで十分なんじゃないのかい?」と告げ、決してアッシュを諦めることの無い英二というイメージです。
そこに、芯の強さを感じさせるホワイトシダーが重なります。アレックスに銃の打ち方を教えて欲しいと言ったり、アッシュを助けようと奔走する姿が目に浮かびます。

ラストノートになると、ベンゾインの香りになり、一気に温かみが出てきます。アッシュの孤独に気付き、傷ついている彼を守ろうとする英二を思わせる香りです。
キリマンジャロにある凍り付いた豹の死体の話をするアッシュに、「人間は運命をかえることができる 豹にない知恵を持って・・・ そしてきみは豹じゃあない そうだろ?」と言う英二の、柔らかな微笑みが感じられます。

全体的に、気取りのない印象の、純粋な香りです。温かみのある優しさに、ふんわりと包まれてください。