トップノートは、甘酸っぱいカシスの香りから始まります。
両親をAKUMAに殺されたり、イノセンスの適合者ということが判明し、唯一の肉親だったコムイとも引き離されてしまう辛い過去を持っていても、教団でコムイや仲間からたくさんの愛情を受けて育った姿が伝わってくるような、甘みのある香りです。

ミドルノートになると、凛とした気配を放つフローラルの香りが、ふわりと重なります。
自分を愛してくれた教団の家族を絶対に守ると誓っているような、強い決意を感じさせる印象です。
「仲間が一人死ぬことは 私にとって「世界」の一部が滅びるのと同じこと…………」とアレンに伝える彼女の、仲間を失いたくないという強い願いも感じられます。

ラストノートにかけて、しなやかな空気感を持つムスクの香りが漂い続いてゆきます。
誰一人として失わずにみんなで笑い合える未来を祈る彼女を感じさせる優しい香りです。
彼女にコーヒーを入れてもらえたら癒されるんだろうな、と思わずにはいられない、ふんわりと柔らかい雰囲気を感じさせます。

全体的に、彼女の屈託のない笑顔がイメージできるような、甘酸っぱく可愛らしい香りです。
悲しみを背負いながらも、それでも明るい未来を願い戦う彼女を感じられるフレグランスとなっています。

©星野桂／集英社