トップノートは、フルーツの香りと共に、コットンキャンディの甘やかな香りが広がります。
少女のような見た目の可愛さを思わせる香り立ちで、誰に対しても気軽に話しかける無邪気な性格や、いつもキャンディなどのお菓子を口にしている彼女の、キュートな姿を思わせる香りです。

ミドルノートになると、ローズの香りが重なることで、可愛らしい空気感がぐっと落ち着いて変化します。
可愛らしい中にも、時折醸し出される妖艶な空気感が伝わってくるような、長く生きる彼女の大人びた雰囲気を感じさせる香りです。
伯爵とアレン、ティキと14番目の関係性を知っていながら多くは語らない彼女の、発する言動の深みを思わせます。

ラストノートにかけて、オークモスの香りで、ほの暗い空気感が辺りを漂います。
巻き戻しの街で、アレンに「あったかいでしょぉ」と抱き着いた直後に「お前らヘボとは違うんだよぉ」と言ってアレンに杭を突き刺す姿や、夢の世界へラビを連れ込み、精神攻撃を仕掛けたりするような、残酷な戦い方をするノアの一族としての彼女を思わせます。

全体を通して、ポップで可愛らしい印象の香り立ちとなっています。
しかし、次第に妖しげな雰囲気が広がることにより、彼女の今に至るまでの長い軌跡を思わせるようなフレグランスです。

©星野桂／集英社