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写真家|IdentityⅤ

トップノートは、シナモンバークのクラシカルな香りから始まります。ヨーロッパの古城や、歴史あるお屋敷を思わせるような香りです。
そこへ、ラム酒の薫り高い甘さが重なり、くらりと心を酔わせるような華やかさが香ります。古めかしい中にもどこか高貴さのある、優雅な印象です。

ミドルノートになると、ふわりとした柔らかさを持つダフネの香りが、幾星霜もの時を物語るようにゆるやかに花開きます。
それと共に、ほのかな渋みを持つスパイスと、ほろ苦くも甘いアマレットの香りが合わさります。どことなく色あせた夢を見るような、儚さのある雰囲気です。
もはや今は取り戻すことのできない、かつて弟と共に過ごした幸せな時間を思わせる香りです。

ラストノートでは、まったりとした甘さを持つアーモンドブロッサムの白い花が、ゆるやかな余韻を残しながら広がります。たゆたう甘い香りが、揺らめくように広がるイメージです。
終わりのない残酷で幸せな夢に捕らわれ、決して覚めることない幻想に溺れるかのような香りです。

全体的にクラシカルなイメージで、品格の漂うフランスの貴族を彷彿とさせる、エレガントな雰囲気です。
重ねた年月を思わせるような古めかしさと、そこに重なる美しさと優雅さが、幻想的な時間を生み出すフレグランスです。