Priestess

祭司|IdentityⅤ

トップノートは、アニスのたゆたうような甘さから始まります。
扉の鍵を駆使してワープを作り出してゆく彼女の、祭司としての謎めいた姿を思わせるゆったりとした香り立ちです。
霞がかっているようなスモーキーさもあるため、時空の支配者、ヨグ=ソトースの忠実な信者といった、神秘的な雰囲気も感じられます。

ここからミドルノートになると、チュベローズやイランイランの花の香りが、華やかさをもたらしながら重なります。
彼女の装束からすらりとのぞく脚や、ピンク色の長い髪がなびく所がイメージできるような、女性特有の美しさを感じさせる香りです。
同時に、どこか整った印象の香りでもあるため、神秘学や地理に興味を示し、哲学や文学を好む彼女の、知的な一面を併せ持つ姿も感じられます。

ラストノートでは、フランキンセンスのふわりと甘い香りが、余韻となって漂い続けます。
不透明な香りですが、どこかパウダリックな甘さが重なるため、科学技術が苦手な彼女の可愛らしい一面を感じさせる印象です。

全体を通して、幻想的な甘さがあって、ミステリアスで掴みどころのない香りです。
そこへ、少しずつ柔らかい甘さが重なることによって、幻想的な雰囲気の中にも、彼女の隠れた一面が少しずつ見えてくるフレグランスとなっています。