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曲芸師|「Identity Ⅴ」

トップノートは、クランベリーの甘酸っぱい香りから始まります。
サーカス旅団『ノイジーサーカス』の一員としてのマイクを思わせる雰囲気で、活発な性格と魅力的なパフォーマンスで観客から愛されていた彼を感じる、華やかで明るい香りです。

ミドルノートになると、レモンキャンディのキラキラとした香りが広がります。
彼が身にまとっているカラフルな衣装がイメージできる、煌びやかな香り立ちです。
しかし、この明るい香りの中に、どこか不透明な甘さを持つココナッツの香りがじわりと重なることにより、サーカス団を襲ったあの悲劇を彷彿とさせるような、危うさを感じる香りへと変化します。

ラストノートにかけて、フルーティーシロップのまろやかな甘さが出てきます。
ただ、不穏さがずっと残っているような不思議な雰囲気のため、3種類の爆薬を自在に配合してジャグリングボールへと変える彼が、サーカス団で活躍していたあの頃と変わらぬ満面の笑顔を向けながら攻撃をしてくる姿を思わせます。

全体を通して明るい印象がずっと続く可愛らしい香りとなっています。
しかし、時間が経つ毎に彼の中に燻る狂気的な一面が顔を覗かせるような、不安定な雰囲気が漂うフレグランスです。