Jaibo
トップノートは、深い甘さのあるカメリアの香りから始まります。華やかで整った美しい花のイメージで、長い前髪の間から切れ長の目を覗かせるジャイボの、艶やかな美しさを思わせます。
そこに、霧のように揺らめくアイリスが重なって、冷ややかでミステリアスな印象となっています。「きゃはっ」と笑いながら女教師の腹を切り裂く時のような、底知れない恐ろしさが感じられるような香りです。
ミドルノートではイランイランの艶やかな香りが出てきて、一気に背徳的な雰囲気へと変わってゆきます。官能的な甘みが、どことなくゼラに対するジャイボの歪んだ想いを感じさせるようです。
さらにそこに甘美なローズが重なり、抗いがたい妖しい印象が出てきます。まさに「漆黒の薔薇」らしい、
ですがラストノートになると、しっとりとした渋みを持つベチバーが、
そこにトンカビーンズの深みと温かみが混じり、ダークでありながらもどこか熱を帯びたようなイメージが出てきます。最後、「愛してる 愛してるんだゼラ…」と涙を流す姿を物語るような香りです。
ジャイボのフレグランスは、終始ほの暗いバラの香りが続く、美しくも妖しい雰囲気となっています。
甘美な悪夢のように退廃的な香りに、ぜひ浸ってみてください。
©古屋兎丸/太田出版