うちはサスケの香りは、冷たい印象の中にも、奥に純粋さを潜ませた香りです。

トップノートは、凍てつくように冷ややかなハーブの香りから始まります。
まるで復讐者として力を求めているサスケの姿を思わせるような冷たさです。一族を皆殺しにしたイタチのことを殺すと野望を語る、冷酷なまでに刺々しい雰囲気です。

しばらくすると、ヒノキの深みのある香りが、この冷たさに溶け込むように重なります。
クールだけれども内側に強く深い愛情を持ち、常に目的を果たす為に生きてきた、彼の芯の強さを感じさせる奥深い香りです。次第にひんやりとした印象は落ち着いて行くので、イタチが抱えていた全ての真実を知り涙を流し、そして一族を貶めた木ノ葉を潰すと再び動き出した、彼のある意味で誰よりも真っ直ぐで純粋な想いが伝わってくるようです。

ラストノートでは、シダーウッドの透明感のある香りが、辺りを漂うように香り立ちます。
ナルトとの最後の戦いで自身の負けを認める、どことなく吹っ切れた表情を思わせる端正な香りです。諦めずに追い続けてくれたナルトやサクラへ感謝の言葉を伝える彼の、贖罪の旅へ立つ後ろ姿を思わせるようなクリアな雰囲気です。

渦巻く激情の果て、その眼が見据えた先にもたらされた光を感じさせる香りです。

©岸本斉史 スコット／集英社・テレビ東京・ぴえろ