Gāra
我愛羅の香りは、彼の深い絶望感を感じさせるような鋭さの中にも、奥にほんのりと温もりが滲む香りです。
トップノートは、乾いた砂漠地帯を思わせる、ハーブとスパイスのがさついた荒い香りから始まります。
残酷なまでに冷たい目を向ける、「我を愛する修羅」として生きる彼の、幼少期に抱いた自分だけを愛すという想いや心の叫びが感じられるようです。
温感をあまり感じない少しシャープな香りなので、父親から命を狙われ、夜叉丸からも「恨んでいた」と告げられた、彼の奥底にある深い孤独をも感じさせる香りです。
我愛羅の香りは、彼の成長が勢いをつけて駆け抜けていくように、あっという間に香りが変化します。
ラストノートにかけて、人心地を感じさせるように、ベンゾインのまろやかな甘さがそっと滲み出すので、風影となった彼の深い思慮を思わせる、温かくも奥深い香りになります。
夜叉丸の真実や母親に愛されていたことを父親から語られ涙を流す姿、同じ人柱力としての業を背負うナルトと理解し合い、誰かを守れる人間になりたいと里の長として皆を見守る彼の、愛で包み込んでいくようなぬくもりを感じさせる印象です。
苛まれるほどに愛を渇望する彼が紡いでいく、未来の安寧をたたえた香りです。
©岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ