NEZUMI
トップノートは、冷ややかなヒヤシンスと、キレのあるリーフグリーンが合わさったところから始まります。
シャープな気配が淡々と広がるような香り立ちで、冷静沈着で非情な一面や、NO.6に強い憎悪を持っているネズミを感じさせます。
ミドルノートになると、ジャスミンなどの花々が重なります。
鋭い印象が徐々にほぐれて、香りに艶が出てくるような変化です。
人々に安らぎを与える美しい歌声を持ち、西ブロックでは数少ない娯楽施設の劇場で『イヴ』として舞台に立つ彼の、しなやかな佇まいが感じられる雰囲気です。
ラストノートにかけて、ゆったりとしたオークモスと温かなアンバーが広がります。
先程のしっとりとした香りはそのままに、人肌のような温感が合わさるようなイメージです。
自分のせいで紫苑が罪を負ってしまったこと、そして紫苑を巻き込んでしまったことを悔やみ「俺が背負わせた」と涙ながらに伝える彼の、不器用な優しさを思わせます。
全体を通して、研ぎ澄まされたようなひんやり感と、艶やかさを併せ持つ香りとなっています。
しかし、最後は仄かにぬくもりを感じさせるため、彼の抱えた思いが透けて見えてくるようなフレグランスです。
©あさのあつこ・講談社/NO.6製作委員会