トップノートは、ふわりと柔らかなピオニーから始まります。優しい空気感を感じさせる軽やかな香りです。
そこにストロベリーの甘酸っぱさが加わり、どことなく可愛らしい印象があります。兄に庇われている幼い瞬、という雰囲気の香りです。
周囲から「泣き虫」「一番ひ弱なヤツ」と言われていた、小さい頃の姿が目に浮かぶようです。

ただミドルノートになると、トップノートから一転して、清々しい香りが漂い出します。すっきりとしたシダーウッドの香りで、どこか芯の強さを感じさせるイメージです。いざと言う時には聖闘士として戦うことも辞さない、内なる強さを秘めた瞬を感じることが出来ます。
さらにグリーンフローラル調のミュゲが重なり、曇りのない無垢な甘さが広がってゆきます。

ラストノートでは、ホワイトムスクのほんわかした柔らかさが、彼の優しい心を物語るかのように広がります。闘いを好まず、できることなら敵を倒さずに済ませたいと考えている姿を思わせるような香りです。
さらにそこにアンバーの温かみが合わさり、奥深い雰囲気が出てきます。兄を信じる彼の心が見え隠れするかのような香りで、兄に攻撃されても「にいさん」と呼び、いつでも兄を慕い続けている姿が感じられます。

全体的に、柔らかく優しい雰囲気でありながらも、凛とした強さも感じられる香りです。
可愛らしさの奥にある、しなやかな気配を感じてください。

©車田正美・東映アニメーション