Isaac Foster

アイザック・フォスター|殺戮の天使

※ゲームのネタバレを含みます。ご注意ください

トップノートは、ドライな渋みから始まります。ダークな印象のあるブラックペッパーの香りです。出会った当初「今から3秒数えてやる。だからさぁ、逃げてみろよ!」と追いかけてくるザックの、悪夢のような恐怖感を感じられます。
そこに刺々しいライムの疾走感が重なり、暗くも軽やかな雰囲気にもなっています。短絡的で衝動的なザックの性格を物語るような香りで、深く考えることなく人を殺したり、B4のエディのフロアで笑いながらノリノリで全部の墓石を壊しまくるザックが目に浮かぶようです。

ここからミドルノートになると、ほろ苦いジンジャーの熱感が出てきます。かつてその身を焼いた炎を物語るかのような、息苦しくるような香りです。
そこに、しっとりとしたダフネの甘みが加わって、どんどんと暗い印象のな香りに変わっていきます。彼の凄惨な過去と、それによって出来上がった殺人鬼の姿が思い起こされるようです。「幸せそうな奴とか、うれしそうにしている奴を見るとよ……つい、殺しちまう」と言うザックが思い出される香りです。

ただラストノートは、どこか真っすぐなシダーウッドが香りだします。さらにアンバーの温もりが少しだけ重なって、「天使」ではなく「人間」であるザックを思わせるような香りとなります。レイチェルに、目の前にいるのは"神様"じゃないんだと伝え、「自分のことは自分で決めろ!」と語るザックを思わせます。
また、ほんの少しだけプラムブロッサムの甘みも出てきます。レイに「……お願い」と言われると、「そう言えばいいと思ってんじゃねえだろうな」と言いながらもお願いを聞いてしまうザックの、分かりづらい優しさも感じられます。

全体的には、ほの暗くて苦く、出会ったら絶望しかないような殺人鬼としての姿を感じる香りです。
ですが、その底知れない不穏さの影に潜ませた、ほのかな温もりが印象的なフレグランスとなっています。