Oczy
【トップノート】
湿り気のあるキャラウェイが、どことなく無骨な印象をもたらします。
代闘士を生業としているオクジーの、朴訥とした雰囲気を思わせる香りです。
ただ、どんよりとした印象もあるので、希望は天国にしかないと思い込んでいたり、星々の蔑みの目を怖れて夜空を見上げることができなくなった彼の、この世界に期待していない姿が感じられる香りでもあります。
【ミドルノート】
力強いガルバナムが、香りを引き締めるように重なります。
どこか香り立ちがどっしりとしていくイメージで、バデーニと地動説を追求していく中で、世界を動かすためにオクジー自身も徐々に突き動かされていく様子が思い浮かぶようです。
満ちた金星を観測する夜に、バデーニとヨレンタに「期待してください」と力強く伝える姿も感じられます。
【ラストノート】
ウッディ調の晴れやかな香りが広がり続けます。
この世界を諦めてしまっていたオクジーが、最後には地動説の感動を守るために地獄へ行けると思えるまでになった、その変化を思わせる香りです。
最期に「今日の空は、絶対に、綺麗だ」と言ってバデーニと共に夜空を見上げた彼の、死に怯えることのない満足げな表情が思い浮かびます。
【全体的な香りの印象】
オクジーのフレグランスは、素朴で冴えない印象の香り立ちから、次第に夜空に希望を見出したかのような、すっきりとした雰囲気へと変化するのが特徴です。
彼の書いた本の内容が、バデーニの手によって巡り巡って後世に託されていく。
そんな可能性を知り、未来に期待することができるようになった彼が生きた軌跡を、香りで感じてみてください。
©魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について―製作委員会