Badeni
【トップノート】
一貫して綺麗な印象があるので、聖職者としてのバデーニの立場が感じられる香りです。
ですが、最初はその中にユーカリやライムといったシャープな香りが混じります。
自分は他人とは違う特別な存在で、完璧な英傑なのだと信じて疑わない彼が放つ、近寄りがたさを思わせる香りです。
【ミドルノート】
ルピナスの澄んだ甘みが重なります。
トップノートにあったハーバル調の硬さが薄れ、香りに少し透明感が出てくるイメージです。
自分が歴史を動かす瞬間、その特別な一瞬を、心から待ちわびているバデーニ。
たとえどれほど周囲から異端だと言われ、罰せられると分かっていても、その一瞬の為に手にした禁書を開く彼の、一途で純粋な探求心を思わせます。
また、自身の常識や思い込みを瞬時に正すことができるといった、素直な一面も感じることができる、清らかで真っ直ぐな香りです。
【ラストノート】
地動説を守るために異端審問官の元へ向かうオクジーに祈りの言葉を贈ったり、生きながらに視力を失う辛さを知っているからと、目を刺されそうになったオクジーを寸でのところで助けたりしたバデーニの、人情が微かに感じられる香りです。
また、「自らが間違っている可能性を肯定する姿勢をもつ」というこれまでの自分にはなかった考えをオクジーから諭されたことで、最期に歴史を残す選択をしたバデーニの心境の変化も感じられます。
【全体的な香りの印象】
バデーニのフレグランスは、聖職者としての端正な印象が一貫してありつつも、その中に彼の高潔な一面や人情が感じられるのが特徴です。
自身の研究を残すことはしないとしつつも、歴史が残ることは無益ではないと考え、オクジーの紡いだ本の内容を後世に残したバデーニ。
最期まで真理を追い求めた彼の真っ直ぐな生き様や歩んできた軌跡を、香りで感じてみてください。
©魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について―製作委員会