Night Watch
夜の番人|「Identity Ⅴ」

トップノートは、ラベンダーやユーカリといった、冷ややかなハーブの香りから始まります。
吹雪く夜の森で侵入者を狩っているイタカを思わせる香りです。
どこかシャープな印象でもあるため、風を操って戦う彼の姿も感じられます。

ミドルノートになると、バニラやシナモンが織りなす不透明な香りが重なります。
イタカと出会ったら最後、生きて帰れる者はいないため、彼の様相は誰も知り得ることがないという、ミステリアスな様子を思わせる香りです。
また、徐々に香り立ちが強くなっていくため、死児として捨てられた苦々しい過去や、育ててくれた母親を治安法官が捕らえた際に、彼女を救い出すために実兄をその手にかけたほどの復讐心などが、微かににじみ出します。

ラストノートにかけて、サンダルウッドのほのかな甘みが広がります。
また、トップノートに比べると静けさが広がっていくような変化もあります。
母親の眠りをずっと守り続けているイタカですが、長い年月が経ったことによって、もはや何を守っているのかさえも忘れてしまっているという、切ない情景が感じられます。

全体を通して、吹雪の夜を思わせる冷ややかさや、不透明な質感をもつ香りです。
しかし、その後にほんのりと感じられる甘さが、吹雪く夜を守る番人であるイタカの、悲しい生い立ちや切なさを思わせるフレグランスです。