Yoshiki Tsujinaka
【トップノート】
飾り気のないシトラス調にゆるやかなベンゾインが混じる、素朴な印象の香りから始まります。
控えめで繊細な香り立ちで、いつも前髪で顔を隠している様子や、どんな小さなことでも話がすぐに広まってしまう狭い田舎で、周囲から家庭環境のことを噂されて辟易しているよしきを思わせる香りです。
また、この繊細な印象が、今目の前にいる光が本人ではないことを既に知っており、半年もの間その秘密をずっと一人で抱えてきたせいで不眠に陥ってしまっているという、ナイーブな一面も感じさせます。
【ミドルノート】
ラブダナムやスモーキーノートといった、ほの暗い印象がジワリと広がりだします。
このほの暗さが、トップノートの素朴な香り立ちに違和感を与えるように広がっていくため、だんだんとヒカルと混じっていくよしきの様子を感じさせます。
ヒカルを受け入れながら接していくうちに、彼がもっている価値観や、見えている世界の何もかもが違うことを改めて痛感し、困惑するよしきが思い浮かぶ香り立ちです。
また、少し香りのテンションが低くなっていくので、よしきが光に抱いていた淡い想いは、この村では到底受け入れられないものであったという、生きづらさを抱える様子も感じることができます。
【ラストノート】
ベチバーの素朴ながらもどっしりとした深みのある香りが出てきます。
どこか地に足がつくようなニュアンスへと変化するため、ヒカルの謎を解明しようと行動を起こすよしきの、決意や覚悟が感じられる香りです。
「ここに居たい」というヒカルの願いを叶えるべく、ヒカルが何者なのか調べたり、この先ヒカルが誰かを殺めてしまったとしても自分も一緒に罪を背負おうとするよしきの姿が目に浮かびます。
【全体的な香りの印象】
辻中佳紀のフレグランスは、繊細な印象の香り立ちの中に、彼の苦悩や葛藤、そして意志の強さが見えてくるのが特徴です。
奇怪な出来事に困惑しながらもヒカルを受け入れ、ヒカルがヒカルらしく生きられるようになるために自分の全てを捧げる覚悟で進んでいくよしきの姿を、香りで感じてみてください。
©モクモクれん/KADOKAWA・「光が死んだ夏」製作委員会