Hikaru Shindo
【トップノート】
マンダリンやグレープフルーツといったみずみずしいシトラスの、フレッシュで爽やかな香りから始まります。
佐為との出会いから碁の世界に足を踏み入れ、全くの未経験から徐々に成長していくヒカルの、可能性に満ちた様子を思わせる、カジュアルで明るい香り立ちです。
一方で、ミドルノートにあるパチュリのピリリとしたアクセントも効いています。
ただ親しみやすいシトラス調ではない、少しスパイシーさもある香りが、棋士にしてはラフな態度でいたり、佐為やアキラに対してもやや生意気な一面を持ち合わせていたりするところを思わせます。
【ミドルノート】
シクラメンやガーデニアの香りが出てきて、トップノートのみずみずしい甘さから、大人びた雰囲気に変化します。
棋院に入り、院生同士やプロの棋士、そして佐為との対局を重ねてついにプロになったヒカルの、努力が実り才能が開花していく様子を思わせる香りです。
しかし、トップノートでも感じられたパチュリのドライな香りが増していきます。
その分静かな力強さが出てきますが、ほろ苦さが重なります。
成長の一方で、佐為との別れに喪失感や罪悪感を覚え立ち止まってしまったヒカルの、苦悩が滲んでいるイメージです。
【ラストノート】
ミドルノートのフローラル調の甘さが余韻となって残りつつも、ベチバーの重厚感ある香りが重なります。
トップノートが若くカジュアルな印象だったのに比べると、まるで地に足をつけたような存在感が増していくイメージです。
佐為の碁が自分の中に息づいていること、そして佐為と会うには碁を打ち続けるしかないと気づいたヒカルが、苦悩を振り切ってプロの道を再スタートしていく姿を思わせます。
窮地に陥っても、もう背後にはいない佐為に頼らず己の力で対局に挑むヒカルが、まだまだ成長していく様子も感じられます。
【全体的に】
進藤ヒカルのフレグランスは、若々しく軽やかでカジュアルな香り立ちが、ガラリと大人びた雰囲気に変化するのが特徴です。
ひょんなことから一切縁のなかった碁の世界に入り込み、託された扇子を手に、そして受け継いだ碁を武器に、遠い過去と遠い未来を繋げるために邁進していく。そんなヒカルの姿を感じてみてください。
©ほったゆみ・小畑健/集英社