Fujiwara no Sai
【トップノート】
涼やかなユーカリや楠の優雅な香りから始まります。
楠が香木ならではの重みやスモーキー感を出しており、和の雰囲気を感じさせる香りです。
かつて平安の都で天皇を相手に囲碁の指南役をしていた佐為。
そんな彼の狩衣姿や艶やかな長髪などからわかる、現代とは違う時代を生きていた人が顕現しているという神秘性が感じられます。
【ミドルノート】
フローラル調の華やかな香りが出てきて、香り立ちが力強くなります。
振り返ってみるとトップノートの方が愛嬌があったのだとわかる、威厳が感じられる香りです。
あの塔矢行洋をして「歴戦の古豪」と言わしめるほどの威圧感を放ち、冷静に、そして確実に相手を追い込む碁を打つ佐為の、対局時の厳かな雰囲気が伝わってきます。
一方でトップノートに比べると張り詰めたような空気感も出てきます。
ヒカルと共に過ごすうちに、彼の才能の開花を妬ましく思ったり、自分の有限の時間に焦りや悔しさを見せたりといった、佐為が抱える焦燥感が垣間見える香りでもあります。
【ラストノート】
バニラやスパイスの、ぼんやりと、ゆったりとした甘さが広がります。
ミドルノートの力強さや華やかさが薄れ、ゆったりと揺蕩うような質感の香り立ちです。
塔矢行洋との互先の対局をヒカルに見せるために、そして、ヒカルへと碁を託すために今の世に現れたことを悟った佐為。
そんな彼が、嫉妬や焦燥など残さず、穏やかに楽しかったのだと思いながら消失していく様子が思い浮かびます。
しかし、香りが薄くなるわけではありません。
深い余韻が残るため、彼が本因坊秀策として打った碁や、彼との思い出が残り続けている様子を感じることができます。
【全体的に】
藤原佐為のフレグランスは、平安時代に生きた貴人であることが伝わってくる、一貫して雅やかな香りですが、強弱の変化がはっきりしているのが特徴です。
ヒカルとの運命的な出会いを果たし、神の一手への渇望を胸に、ヒカルたちと共に三度目の人生を歩んだ彼の軌跡を感じてみてください。
©ほったゆみ・小畑健/集英社