KAMISHIBA KENZO
【トップノート】
ベルガモットとティーノートを重ねた、上品な香りから始まります。
健三がまどかに紅茶を淹れている優雅な様子や、いつも微笑をたたえ滅多に口調を荒げない、落ち着いた健三の姿が思い浮かびます。
しかし、奥からローズマリーの硬い香りが
誠一に対しての当たりの強さや、にこやかな表情とは裏腹な本音が垣間見える香りです。
【ミドルノート】
マテのまろやかな甘さが出てきます。
トップノートの軽やかさから、もったりとした質感に変化するイメージで、端正な印象の中から仄暗さが
7歳で天涯孤独となり、はぐれ記録者であったという経緯を持つ健三。
そんな彼の重く暗い過去、あるいは社会の闇や格差を身をもって知っているからこその、達観した考え方が伝わってきます。
【ラストノート】
ムスクの穏やかな香りが重なり、ナチュラルな印象に変化します。
スワロウテイルの記録者として、今を平穏に暮らしている健三の姿が思い浮かぶ、飾り気のない香りです。
また、トップノートに比べると深みが出ているため、かつての自分と似た境遇にある人たちへ何かを伝えようとする、大人な雰囲気も感じられます。
【全体的に】
神柴健三のフレグランスは、彼が淹れるのを得意とする紅茶の香りで、スマートで上品な印象がありますが、徐々に重さや微かな渋みが出てくるのが特徴です。
彼が表に出している顔、陽の当たる生活を送れなかった幼い頃の辛さ、そして、信頼のおけるスワロウテイルの2人に見せる素顔など、様々な表情を感じてみてください。
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