Mitarai Akira
【トップノート】
リーフノートやクリーンコットンがもたらす、清潔感のある香りから始まります。
若々しく爽やかな香りで、銀行の窓口のお兄さんらしいフレッシュな印象でありながら、カジュアルさがあるのが特徴です。
来店者に笑顔で接したり、同僚のミスを教えてあげたりするといった、ミスを犯さない自分の平凡な日々に退屈さを感じている御手洗の様子が思い浮かびます。
【ミドルノート】
カサブランカやマグノリアといった、花の蜜のような甘さが出てきて、トップノートの爽やかさやカジュアルさが抜けていきます。
一見普通の若手社員のようでありながら、実は驚異的な暗算能力をもっている御手洗の、隠れた非凡さが垣間見えるようです。
また「特四」に配属されて真経津と出会い、さらには地下オークションに堕ちるという経験を経て、
【ラストノート】
ネロリの、芯のあるすっきりとした香りが広がります。
ミドルノートの重たい印象が晴れやかな印象に変化するものの、ほんのりクセを残した香りです。
片伯部いねのアドバイスを受けて、自分の意志に従って生きることを決めた御手洗。
そんな彼が、真経津の死に顔を見たいという歪んだ欲望をもっている自分を受け入れ、真っ直ぐに突き進む様子が感じられます。
【全体的に】
御手洗暉のフレグランスは、社会人数年目の青年らしい、若々しく爽やかな印象の奥に、濃い甘さや微かなクセが隠れているのが特徴です。
平凡な日々を送る一見普通そうな若き青年が、「特四」やギャンブラー達と関わるうちに、徐々に非凡さや、ともすると異常とでも言うべき真経津への執着心を見せていく様を感じてみてください。
©田中一行/集英社