Usami Zenimaru
【トップノート】
シトラス調の涼やかな香りと同時に、ラストノートにあるウッディ調の甘みが感じられることで、品のある香りが広がります。
艶やかな印象もあり、若手社員の御手洗に比べると風格のある宇佐美の姿が思い浮かぶ香りです。
白金円から「ヘラヘラ笑い」と紹介されてしまうほど、常に人好きのする微笑をたたえている彼の、スマートでエレガントな雰囲気が伝わってきます。
【ミドルノート】
シトラス調の涼やかさが抜けて、ジャスミンの甘みや深みが強くなります。
トップノートよりも艶っぽさが増し、思わず惹き込まれてしまうような魅力が際立つ香りです。
伊藤吉兆の強権的な姿勢とは対照的に、部下の主体性を認め、時には彼らに労いの姿勢を見せる宇佐美。
そんな彼の、まるで糸を引いて操るように部下を上手くコントロールしている様子が感じられます。
【ラストノート】
ウッディアンバリーの重厚感や、クマリンのもたらすパウダリックな香りが出てきます。
常に笑顔な分、腹の底が一切読めない宇佐美の掴みどころのなさや、準備期間を設けずに主任解任戦を一発目から受けるという、時折見せる大胆不敵な態度が感じられる香りです。
雪村真から「ヘラヘラしてても常に怖い」と言われるような、底知れない雰囲気が伝わってきます。
【全体的に】
宇佐美銭丸のフレグランスは、ベテラン銀行員らしい品や風格のある、エレガントな香りです。
そうした高級感や格式高さがありながら、徐々に重くダークな印象が出てくるところから、一定の頼りがいを感じさせつつも
©田中一行/集英社