ITO KAIJI

伊藤開司|「カイジ」フレグランス

【トップノート】
どこか味気なさすら覚えるシトラスの香りに、微かにコリアンダーのツンとした刺激が重なるところから始まります。
繊細な香り立ちで、いっそ無気力さや擦れている様子までもが感じられる香りです。
上京してから手に職をつけず、しょぼいギャンブル生活を送っては金のない毎日を嘆く、冴えない青年カイジの姿が思い浮かぶようです。

【ミドルノート】
シナモンの温かみある甘さが出てきます。
せこい悪戯に手を汚すことはあっても、人を裏切ったり見捨てたりはせずに、何度痛い目を見てもついつい友情の存在を信じてしまうカイジの、お人好しなところが伝わってくる、優しい印象の香りです。

【ラストノート】
アンバーやパチュリの香りにより深みが出てきて、トップノートの頼りない印象に比べると、頼もしさを感じさせる香り立ちに変化します。
泣き虫で撃たれ弱いかと思いきや、勝負事となるとブラフを見抜き、ルールの穴を見つけ、勝利の糸口を見出すような、したたかさを持ち合わせるカイジ。
そうした彼の、土壇場で踏ん張る根性や豪運を思わせる香りです。
一方で、どこか懐かしさすら覚える石鹸のような、穏やかな香り立ちでもあります。
数々のギャンブルに挑み、時に辛酸を舐めながらも勝利を重ねるカイジですが、手にした大金を人のために使ったり奪われたりして、結局「留年ギャンブラー」のままでいる姿が伝わってくる香りです。

【全体的に】
伊藤開司のフレグランスは、平々凡々どころか頼りない上にパッとしない印象すらある香りから、どっしりと構えたような重みと深みが出てくるのが特徴です。
“ダメ人間”ながらも憎めない姿や、数々のギャンブルに挑み、時に仲間に裏切られ、時に仲間と共に勝利するカイジの、波乱万丈な日々を感じてみてください。