HYODO KAZUYA
【トップノート】
ミントやユーカリといった、ほんのり硬さのあるハーバル調の香りから始まります。
すっきりとした若々しさの中に品の良さがあり、「小市民」であるカイジともフランクに会話する様子や、兵藤和尊の息子というお坊ちゃんっぷりが感じられる香りです。
【ミドルノート】
高級感あるフゼア調の印象をもたらすマリンノートが
いつも口角を上げている和也の、父親に似てサディストであるという本性が露わになるイメージです。
人の本性を引きずり出すゲームを仕掛けては、高みの見物をして嘲笑う、非情さが伝わってきます。
しかし、トップノートに比べると仄暗い印象の香りでもあるため、そうした趣味を抱くようになったきっかけでもある、過去の経験や傷までもが感じられます。
「兵藤和尊の息子」としてしか認識されず、人を信用しようにもできない環境で育った和也の、孤独が垣間見える香りです。
【ラストノート】
シダーウッドやモスの香りが出てくることで、香り立ちが晴れやかになります。
残酷なまでのギャンブルをプロデュースする和也ですが、父親に頼らない己だけの武器を欲して小説家を目標とする、ある種の純粋さも持ち合わせています。
そうした彼の行動力が感じられる、真っ直ぐで清々しい印象の香りです。
また、トップノートから品の良さが続いているものの、最初にあった硬さが和らぎ甘さが際立ちます。
口では否定しながらも、心の奥底では愛情や友情を手にしてみたいと思っているような、年相応の甘さが垣間見えるようです。
【全体的に】
兵藤和也のフレグランスは、帝愛グループ・兵藤家の血族であることが伝わってくる高級感と、その血に違わぬサディスティックさを思わせる硬さや重厚さが特徴です。
しかしそうした中にも若々しさや甘みがあるため、実は信頼関係を欲している一面や、小説家を目指す前向きさからくる憎みきれない一面を感じてみてください。
©福本伸行/講談社