GINKO
【トップノート】
不透明な質感をもたらすスモーキーノートと、湿り気を帯びたベチバーの渋みから始まります。
蟲煙草を咥えたギンコの、あまり感情を表に出すことのない、物静かで淡々とした様子が思い浮かぶ香りです。
そこにシクラメンのしっとりとした甘さが重なり、それらが混じり合うことによって、甘さと渋みのどちらをも感じられる中間の香り、といったイメージの香り立ちになります。
これにより、蟲と人の
【ミドルノート】
オークモスのナチュラルな香りが出てくることで、トップノートにあった湿り気が引き、霞のような淡く繊細な質感に変化します。
トコヤミに呑まれギンコと名乗って生きることになった彼の、かつての記憶を全て忘れている様子が感じられます。
その奥から、サンダルウッドの艶やかな甘みが少しずつ
まるで、トコヤミの中で光る
左目にトコヤミを宿していたり、蟲の宴に居合わせたりと、二つ目の
【ラストノート】
ムスクやアンバーが、ミドルノートにあったサンダルウッドの甘さを和らげ、穏やかな香り立ちになっていきます。
道中で出くわした、蟲の引き起こす事象に巻き込まれた人々を助けては、ほどなくして旅立ってしまうギンコ。
そんな彼の、根無し草のような生き方や、表には出さない人情が垣間見える、温かみのある香りです。
ミドルノートに比べると人間味が感じられるため、この世の全てを己の居場所として旅を続ける彼の、穏やかな心持ちまでもが感じられるようです。
【全体的に】
ギンコのフレグランスは、静けさをたたえた淡々とした香り立ちで、全体的にスモーキーなニュアンスをもっています。
どこか曖昧な香り立ちだからこそ、侘しさや懐かしさ、はたまた安心感すら抱くことができるのが特徴です。
蟲と人が偶然重なって生まれる事象に対して、感情的になることなく、双方の在るべき生き方を導くギンコの、飄々としているようで人間味に
©漆原友紀/講談社