突如として魔法の世界に舞い降りた救世主の笑顔を思わせる、シトラスフルーツの明るく親しみやすい気配。ヘリオトロープの甘みが重なると、青年の周りには優しい空気が広がり始める。
次第にすっきりとしたホワイトシダーが真っ直ぐに差し込めば、その身には使命と絆が宿ってゆく。
不思議な巡り合わせの中で、数多の繋がりを知るためのフレグランス。

キャピッと輝くみずみずしいライチは、まるであざとく可愛らしい吸血鬼（ヴァンパイア）の笑顔のように、憎みきれない甘さを漂わせる。
アップルフラワーの澄んだ香りは内に秘めた純心さを覗かせるものの、徐々にソフトウッディの深みが露わにするのは、あどけなさに潜ませた強気な一面。
小悪魔な振る舞いの中に、交渉人としての手腕が感じられるフレグランス。

ブラックチェリーのダークな甘さは、まるで精気を喰らう淫魔（インキュバス）の恍惚とした表情のように、どこか艶（なま）めかしい。
オレンジブロッサムの真っ直ぐな香りが主への忠誠心を覗かせるものの、徐々にラズベリーの微かな甘酸っぱさが露わにするのは、ちょっぴりドジで憎めないお茶目な一面。
抑えきれぬ色欲の中に、可愛げのある素顔が感じられるフレグランス。

控えめな香りに重なる、リリーの華やかな甘み。それは、ひっそりと息を潜める青年の内に秘められた強大な力を示唆するかのように、存在感を放っている。
ゆるやかな質感をもつベンゾインが伝えるのは、もう何も傷つけないと誓う、その身に備わる優しい心。
恐れていた力の使い方を知り、外の世界を歩むためのフレグランス。

背筋が伸びるほどに涼やかなリーフグリーンが、由緒ある王都に満ちる。そこへ重なるローズは、より洗練された空気を生み出し、騎士の凛とした佇まいを伝えている。
いつしか隙の無い気配を和らげるようにムスクの優しい甘さが広がると、そこに見えるのはうっすらと赤く染まった頬。
己を律し続ける騎士の心が、少しずつ解れてゆくフレグランス。

みずみずしいフルーツの煌（きら）めきはまるで、民から愛される祭司の朗らかな笑顔のよう。
次第にピオニーの柔らかさが繊細な空気を滲（にじ）ませ、胸に秘めた切ない願いを物語る。しかしバニラの甘みがそっと背中を押せば、彼はまだ見ぬ刺激に満ちた世界へ誘（いざな）われてゆく。
運命の呪縛を解き放ち、身も心も自由になるフレグランス。

深みを帯びた森に漂う、コットンの朴訥とした気配。どこかゆるりとした空気にスパイスの甘みが重なると、次第に大人の男性の色香が滲（にじ）んでゆく。
静かに漂いだすアンバーの温かみが思わせるのは、一度見れば決して忘れられぬ頼もしい背中の厚み。
気だるげな佇まいの中に、成熟した色気を感じさせるフレグランス。

白霧に包み込まれるような、金木犀と白桃のまろやかさ。花々が織りなす官能的な甘みにかどわかされれば、そこから逃れることは叶わない。
不透明な霧の中を手探りで進む先で、カシミアウッドが存在感を放ったその瞬間、微笑みをたたえた妖狐の姿が現れる。
長く生きる妖の気まぐれに、翻弄されるフレグランス。

胸いっぱいに広がる、マンダリンの甘酸っぱさ。同時に広がるツンとしたグリーン調の香りは、無邪気に笑う少年の奥底にある強気な一面を覗かせている。
澄んだミュゲに寄り添うシダーウッドは、やっと見つけた居場所を守る牙爪（そうが）のように、どこまでも真っ直ぐに香り立つ。
従順で健気な雰囲気と、気丈な気配が調和するフレグランス。

天真爛漫な笑顔を思わせる、フルーツのピュアな甘さ。ふわふわと揺蕩（たゆた）う気配に重なる澄んだヒヤシンスは、その心の奥にある健気な想いを覗かせている。
次第にホワイトムスクの仄（ほの）かな温感が広がれば、大切な人の帰りを待ちわびる魔法人形の身体に、じんわりとぬくもりが灯ってゆく。
心高鳴る出会いに顔が綻ぶ、喜びに満ちたフレグランス。

ゆるやかなラムの甘さに重なる冴えたユーカリは、落ち着いた王の佇まいの中に、一切の隙も与えない。清々しいヒノキは民衆を導く一筋の光のように、決して揺らぐことなく立ち昇る。
だが、次第に広がるサンダルウッドの奥深さは、まるで都を見つめるその瞳に宿す慈悲深さのよう。
重責を負う王に相応しい、貫禄あるフレグランス。

どこか淡々とした気配に重なる、硬質なジュニパーベリー。それは、没頭した研究の成果を愛でる瞳の、微かな煌（きら）めきのよう。
バイオレットの品のある甘みが、身悶えするほどに魅惑的な色香を放つものの、その奥に滲（にじ）む温かなトンカビーンズは、かつての思い出へ向ける情を物語っている。
隠し切れない高貴な風格の中に、仄（ほの）かなぬくもりを隠したフレグランス。