荒れ狂う砂嵐の中で
激情に翻弄されるスパイシーウッディノート

低く差し出された頭（こうべ）を地面に押さえつけるように、鋭くキレのあるブラックペッパーが大地を支配する。荒々しくも涼やかなそれは、仮面の下の不敵な笑みが醸し出す、抗い難き色香を思わせる。
花々のしっとりとした甘さが、在りし日の戦神たる己を映し出したのも束の間。どこからか這い寄る仄暗いベチバーの中で、高潔な魂は足掻き続ける。
茨に囚われてなお抗い叫ぶ、気高く勇ましいフレグランス。

TOP:

Black Pepper, Juniperberry, Clove, Nutmeg

MIDDLE:

Muguet, Rose, Violet

LAST:

Hinoki, Cedarwood, Sandalwood, Musk, Vetiver

天空に吹き抜ける風を操り
一粒残さず奪い去るドライスモーキーノート

隼（ハヤブサ）が操る清々しい風のように、伸びやかに広がりゆくリーフグリーンの香り。時折肌を刺すレザーノートの刺激は、何事にも動じずに先を視る鋭い瞳のよう。
いつしか空気が和らぎ、在りし日の背徳の思い出が蘇った刹那。気づかぬうちに胸に満ちるスモーキーな渋みに押し潰され、聡明な魂は我を忘れてしまう。
憧れの温もりに手を伸ばし、覆い尽くさんとするフレグランス。

TOP:

Bergamot, Lemon, Leaf Green

MIDDLE:

Leather Note, Jasmine, Violet

LAST:

Musk, Smoky Note, Cedarwood

それは深く根を張る生命の樹
至高の美酒で育つダークオリエンタルノート

肥沃な土壌を見守るように、芳しい甘みがゆったりと流れる。そこに隠れたスパイスのほろ苦さが暗示するのは、漆黒の瞳に渦巻く、欲望の情念。
ふわりと舞うマグノリアのやさしい甘さが、在りし日の純愛を思わせたのも一瞬。じわじわと沸き出るオリバナムの熱感が、慈悲深かったはずのその魂を狂わせてゆく。
紅き花の蜜で喉を潤す、恐ろしいまでに一途なフレグランス。

TOP:

Brandy, Cypress, Pimento

MIDDLE:

Balsam Fir, Magnolia

LAST:

Praline, Olibanum, Amber