掘って掘って掘り進み、その身に纏（まと）うはガルバナム。誰が言ったか土臭い、大地の匂いは漢の勲章。小花の香りと重なる瞬間、見せる背中に箔がつく。
約束果たしに宙（そら）に出て、銀河を貫くパインツリー。小さな手のひら温めて、そっと包み込むオークモス。二つの香りは螺旋となって、未来永劫御旗を掲げる。
願いを継いで希望を繋ぎ、自分を信じるフレグランス。

道理、常識、天の壁、行く手を阻む数多の障壁。クローブの熱を動力に、ライムの香りが打ち破る。微塵もブレない芯あるヒノキは、まさに骨太、漢の憧れ。
喪失という絶望を、再起の旅立ちに変えるのは、次元を超えて流れゆく、シダーウッドの清々しさ。連綿続くモスの余韻が、後に続く者を励ますように、穏やかな息吹を残してゆく。
お天道様のその下へ、先陣を切るフレグランス。

弾けるように香り立つ、カシスとラズベリーの甘酸っぱさ。腑抜けっ面にパンチをかまし、時折見せるは乙女の横顔。一が二を語るその香り、複雑な乙女心と瓜二つ。
かつての思い出噛みしめて、虚構をぶち抜くマグノリア。拓（ひら）けた未来の時代には、そよぐ花の残り香とアンバーの温もり。
遺志を込めた弾丸で、背中を守るフレグランス。

失意の谷底晴らすのは、キラキラきらめくベルガモット。純白の花がひとつ咲き、柔らかな甘さが心を育む。ふたつ、みっつと咲き乱れ、重たい甘みが影を落とす。
陰る心を陽に照らす、ホワイトムスクの晴れやかさ。透明になり見えなくなろうと、混じり気のなさこそ生きた証。決して絶やさぬ笑顔のように、ピーチの甘さが記憶に残る。
刹那の命に心を宿して、希望を信じるフレグランス。